ISO 10002は、顧客からの苦情対応に関する国際規格であり、組織が顧客の不満を効果的に管理・処理する体制を構築することを支援します。
本規格は、苦情を受け入れ、体系的なアプローチを通じて顧客の信頼を築き、継続的な改善につなげることを目的として設計されています。
ISO 10002は、単独で運用できるほか、ISO 9001(品質マネジメントシステム)など他のマネジメントシステムと統合して運用することも可能です。
あらゆる業種・組織に適用可能で、特に顧客と直接やり取りを行うサービス業、製造業、公共機関、B2B企業などで広く活用されています。
ISO 10002を導入することで、組織は以下のような効果を期待できます。
顧客満足度の向上
● 苦情の迅速かつ体系的な処理による顧客信頼の向上
● 苦情対応によるネガティブな体験のポジティブな顧客経験への転換
組織のイメージおよびブランド価値の向上
● 顧客志向の苦情対応体制の整備による組織信頼性の強化
● 対応品質の向上に伴う肯定的な顧客評価の増加
苦情データの体系的な管理
● 苦情内容の記録・分析による同様問題の再発防止
● 蓄積データを活用した根拠ある意思決定
継続的な改善の促進
● 顧客フィードバックの製品・サービス改善への反映
● 内部プロセスの効率化
法的リスクの軽減
● 適切な苦情対応によるトラブル・訴訟リスクの回避
● 関連法規および規制要件への適合確保
本規格は、業種や規模を問わず、あらゆる組織に適用可能です。特に以下の分野で、高い有用性を発揮します。
● 消費者向けサービス業(銀行、保険、流通、航空、ホテルなど)
● 製造業および流通業(B2CおよびB2B企業)
● 公的機関および行政機関(市民対応部門、苦情処理部門など)
● ヘルスケアおよび医療サービス(病院、製薬会社、医療機器メーカーなど)
● 顧客からの苦情を効果的に管理するためのフレームワークを提供
● 顧客の信頼を高め、組織のブランドイメージを強化
● 継続的な改善を通じてサービス品質を向上
● 顧客フィードバックに基づくデータ分析と意思決定を実現
● ISO 9001との統合運用が可能
ISO 10002は、PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルを基盤として運用されます。
| 段階 | 主な活動 |
|---|---|
| Plan(計画) | 顧客からの苦情への対応方針および目標の策定、 組織内の責任と役割の明確化 |
| Do(実行) | 顧客からの苦情の受付および対応手順の運用、 対応プロセスに関する社内教育の実施 |
| Check(確認) | 苦情対応の成果評価と関連データの分析、 改善点や重要課題の特定 |
| Act(改善) | 改善措置の実施とプロセスの継続的改善、 効果的な苦情対応のための資源の適切な配分 |

ISO 10002認証規格の要求事項は、以下のような構成になっています。
ISO 10002は、顧客からの苦情を体系的に管理することで、顧客満足度の向上や品質改善、組織の競争力強化につなげるための重要な規格です。
この規格に準拠することで、顧客との信頼関係を維持できるだけでなく、苦情に関するデータを継続的に活用・改善する仕組みを構築し、組織の持続的な成長と成功を実現できます。
担当者
kgb@icrqa.com
lee2750@icrqa.com