ISO 37001は、贈収賄防止マネジメントシステム(ABMS: Anti-Bribery Management System) に関する国際認証規格です。この規格は、組織内における贈収賄の予防、検知および対応を目的としており、贈収賄防止に関する法令および該当する自主的な取り組みの順守を支援するためのマネジメントシステムの指針を提供します。
この規格は、詐欺、カルテルやその他の独占禁止法・競争法違反、マネーロンダリング、その他の腐敗行為を直接対象としているわけではありませんが、組織が望む場合には、これらの活動をマネジメントシステムの適用範囲に含めることが可能です。
このマネジメントシステムを導入したからといって、贈収賄に関するリスクを完全に排除できるわけではありませんが、贈収賄の予防・検知・対応において、合理的かつ比例的な管理措置を講じるための有効な手段となり得ます。
腐敗は広く蔓延している現象であり、深刻な社会的・道徳的・経済的・政治的懸念を引き起こすとともに、健全なガバナンスを損ない、発展を妨げ、競争を歪めます。
腐敗は正義を損ない、人権を侵害し、貧困解消の障害となります。
さらに、企業活動におけるコスト増加や取引の不確実性を招き、製品・サービスの価格上昇や品質の低下を引き起こし、生命や財産の損失をもたらすほか、組織や制度に対する信頼を失わせ、公正かつ効率的な市場運営を妨げます。
各国政府は、OECDの「国際商取引における外国公務員に対する贈賄防止条約」や「腐敗の防止に関する国際連合条約」などの国際的な協定、ならびに国内法に基づき、腐敗に対処するための政策を推進してきました。
しかし、法制度のみでこの問題を完全に解決することは困難です。
組織には、贈収賄防止に積極的に貢献する責任があり、それは本規格が意図する贈収賄防止マネジメントシステムの導入、ならびに誠実性・透明性・開放性および法令順守の文化を根付かせるリーダーシップを通じて実現されるものです。
適切に管理された組織は、適切なマネジメントシステムとコンプライアンス方針を通じて、誠実性へのコミットメントと法的義務の順守を実現することができます。
贈収賄防止方針は、組織全体のコンプライアンス方針の一要素であり、これを支えるマネジメントシステムと併せて、贈収賄に伴うコスト、リスク、損害の防止または軽減し、取引先との信頼や組織の評判を高めることにつながります。
この規格への適合は、贈収賄リスクを完全に排除できることを保証するものではなく、組織内で贈収賄が発生していない、または今後発生しないと断定するものではありません。
しかしながら、本規格は、組織が贈収賄を予防・検知・対応するための合理的かつ比例的な対策を講じる上で、有効な支援となります。

ISO 37001:2016認証規格の要求事項は、以下のような構成になっています。
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