ICRの原子力発電所系統機器および構成部品に対する性能検証試験サービス
原子力発電所では安全性が最優先されており、万一の事故に備えて発電所の安全性と信頼性を確保するため、性能検証が求められます。このため、設計寿命および事故発生時における構造物や系統機器、部品が正常に作動することを性能検証を通じて保証しています。
ICRでは、国民が安心して信頼できる品質を確保するため、最先端の試験設備と専門技術者によって、原子力分野における性能検証サービスを最高水準で提供しています。
製品範囲
原子力発電向けのQクラスおよびAクラスの部品・設備
原子力発電所では、発電設備の保護および安全な停止を確保するため、設備の重要度に応じてQクラス(安全等級)、Aクラス(安全性影響等級)、Sクラス(一般等級)に分類し、これに基づいて運用・管理をおこなっています。
1E Class Equipment
Monitoring System,
Reactor Trip Switch Gear System
Air Conditioning Control System
Motor Control Panel
Inverter System
Power Supply
Indicator
Switch類、Button類、Relay類、Cable類、電気的特性素子、センサー類、Fuse類
*. 一般産業用工業品の品質検証(Commercial Grade Item Dedication)
一般産業用工業品(CGI)とは、原子力品質保証要件に基づいて設計・製作されていない構造物、系統、機器または部品を指します。このような一般産業用工業品(CGI)が、原子力発電所において安全機能(Safety Function)を適切に果たすことを合理的に保証するために実施される検証活動(Dedication)を、「一般産業用工業品の品質検証」と呼びます。
適用される関連規格としては、GL 91-05、EPRI NP-5652、EPRI NP-6406、EPRI TR-102260、EPRI TR-3002002982などがあります。
*. 電磁波・電磁妨害試験(EMC Qualification)
電子機器から放出される電磁ノイズが他の電子機器に干渉しないよう、規格で定められたレベル以下にその放出量を管理します。また、外部の強い電磁ノイズ環境下でも電子機器の性能が維持されるよう対策を行い、電磁両立性を確保するための試験です。
*. 耐環境性能検証(Environmental Qualification)
耐環境性能検証とは、温度、圧力、放射線、湿度などの環境条件が機器および構造物に与える影響を評価する業務であり、その詳細は以下の通りです。
劣化解析(Aging Analysis)
劣化解析とは、部品の材質を基準として、熱(Thermal)および放射線(Radiation)に対する設計寿命末期の条件までの材料寿命および環境影響を評価する解析手法であり、アレニウス式を用いて実施されます。
解析の結果、材料の特性が設計寿命や環境条件を満たさないと判断された場合には、試験による交換寿命サイクルの設定や、部品の再選定を検討する必要があります。
熱劣化試験(Thermal Aging Test)
熱劣化試験とは、加速劣化や実試験により部品を劣化(Aging)させ、交換寿命サイクルや設計寿命期間における機器の性能を評価する試験です。
原子力における性能検証では、設計寿命末期の条件下での機器および構造物への影響を評価する必要があるため、解析または試験を通じて事前処理(Pre-conditioning)を実施し、その条件を再現したうえで性能評価を行う必要があります。
放射線劣化試験(Radiation Aging Test)
放射線劣化試験とは、原子力発電所に設置される機器および構造物が、その設置区域における放射線量に対して、使用材料の放射線限界値(Threshold)を満たしているかどうかを試験によって検証するものです。総放射線量の要件を満たさない場合は、部品の交換が必要となります。
環境ストレス試験(Environmental Stress Test)
環境ストレス試験とは、原子力発電所の機器および構造物が設置される区域における環境条件に適合しているかどうかを評価するための試験であり、温度および湿度の最大値・最小値を基準に実施されます。また、劣化処理された部品を組み込んで性能を検証する際には、機器の初期不良を排除するために、バーンイン試験(Burn-In Test)も併せて実施されます。
温度サイクル試験(Thermal Cycling Test)
温度サイクル試験とは、設置環境における急激な温度変化に対する部品への影響を評価する試験です。主に端子台や端子ラグなど、過酷な環境にさらされる部品が試験対象となります。非金属材料の変形や機能の維持を確認することを目的としており、最大温度と最小温度の差(温度差)およびその保持時間が部品に与える影響を評価します。
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